ARカメラや、Zenlyのような位置情報共有で私たちを楽しませてくれているSnapchatが、防災ARフィルターを発表しました。
「もっと気軽に防災や救命の予習ができる方法を提供したい」とSnapchatが開発したのは、3種類のARレンズフィルターです。
・消火器はどうやって使うの?
・AEDって誰でも使えるの?簡単?
・うちは洪水になったらどれくらい浸水しちゃう?
意外とわからないこれらの疑問をSnapchatのフィルターで簡単に知ることができます。
アプリソムリエ今井安紀も記者発表会にお招きいただいたので参加してきました。
Contents
防災ARレンズを作ったのはZ世代や若い世代にも知って欲しいから
Snapchatはなぜ防災ARレンズを作ったのでしょうか?
災害大国日本において、防災の知識があれば助かることも多いのに、その知識に触れる機会がなさすぎることが課題となっています。平成の東日本大震災からはすでに12年が経過、現在の中学生〜Z世代は大地震や災害に対する実感がない人も少なくないはずです。
Snapchatは13〜24歳への浸透率が、主要国で90%を超えているアプリです。
映えやいいね数を気にする他のSNSと比較すると、いいねもなければ自然体で元気のない自分まで投稿できる気兼ねなさがその人気の秘密で、最もハッピーなプラットフォームとの調査結果も出ているのが人気の秘密です。また、雑談ツール的なSNSだからこそ、1日の起動回数が30回と非常に多いことも特徴です。
こんなふうに肩の力を抜いて使えて、接触回数の多いSnapchatだからこそ、若い人たちが気軽に防災意識を高められるARフィルターを開発、搭載するに至ったとのことでした。
防災レンズは3種類!消火器やAEDの使い方、洪水リスクを知ろ
今回発表されたARレンズは、
・消火器の使い方のレンズ
・AEDの使い方のレンズ
・洪水シミュレーションレンズ
の3種類です。
各レンズは、「マツコの知らない世界」などにも出演経験のある、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏との提携で開発されました。(余談ですが、今井安紀的には勝手に出演者仲間だと親近感を持っています。)
日本は知っての通り災害大国であり、地震や津波、洪水など多くの災害を経験してきました。そして今後もそれがまたいつ起こるかはわからないため、日頃から備えておくとともに、前もって知識をつけておくことが大切です。Snapchatに防災の学習のきっかけがあることで、特に若い人が気軽に防災に関する情報にアクセスするきっかけを提供し、自分のものとして使い、災害を避けるための情報を得ることができます。
今回ARを用いることによって、実際の操作に近い動きを試せたり、状況をリアルにシミュレーションできたりすることで、実際に何かが起きた時の予習をよりリアルな動きとして体験できるというメリットがあります。動画などで学習する方法もありますが、わざわざアクセスするハードルが高い上に、受け身で見せられるだけでは人は意外と覚えていないため、少しでも能動的な動きが入るARフィルターは素晴らしいアイデアだと感じました。
防災ARレンズを使ってみました
各防災ARフィルターのレンズを使ってみました。
機器にまつわるARレンズは、手取り足取り丁寧に順番を教えてくれて、本当に勉強になってすごかったです。
消火器の使い方のレンズ
消火器の使い方 Lens by Kavin Kumar – Snapchat Lenses and Filters
レンズが立ち上がると、消火器の使い方の概要が表示されます。
ARカメラ画面になったら、火元と消火器を探します。
(ARの火元と消火器はピンチなどで動かせます。今回はリアリティを出すためにコンセントのところに動かして撮影しました。)
消火器を見つけたら、まずは上についている黄色い安全ピンを抜きましょう。
ピンの部分をタップすることで、ARの手がピンを引き抜いてくれます。
次に、ホースを外して火元に向けます。消火器をタップすると、ARの手がホースを外し、火元に向ける動作をします。
レバーを握って、消火剤を火元に放射します。レバーをタップすることで、ARの手がレバーを握って、消火までがシミュレーションできました。
ただ動画で見せられるだけよりも、タップをして能動的に消火器の部位を確認することで、より覚えやすかったです。
火災は、単独でも起こり得ますし、地震などの二次災害でも発生します。
高荷さんいわく、火災が起きた時にまずやることが、
・大声で知らせる
・消防車を呼ぶ
・初期消火を行う
この3つなのだそうですが、消火器の扱い方を知らないと、消火器を使えないことから初期消火が行えません。消火器の使い方を全ての人が知っていたら、それだけで世の中の防災力をUPさせることにつながるんです。
ちなみに、家庭用の消火器は5,000〜10,000円ほどだそうです。
AEDの使い方のレンズ
AEDの使い方 Lens by Kavin Kumar – Snapchat Lenses and Filters
AEDの使い方のARレンズも、消火器同様に最初に簡単な使い方をまとめた画面が出て、そのあとにARの画面へと移行します。
AEDはまずフタを開けることで、自動で電源がONになり、音声ガイドが流れる仕組みになっています。まずはとにかくフタを開けましょう。
続いて、電極パッドを取り出して貼っていきます。
電極パッドの貼り付け位置をARで実際の人型を使って立体的に知ることができるので、イラストよりもわかりやすいです。同時に、自分で貼る位置をタップするという疑似的な体験ができたおかげで、実際にAEDを使う場面がもし起きても、少しだけ冷静でいられそうな気がします。
最後に、放電ボタンを押します。
AEDの機械は、AR画面の中で近づいてみるとかなり細部まで再現されていた点も学ぶ上でありがたかったです。
AEDは医療機器ですが、実は誰でも使っていいものであり、誰でも使えるように作られています。ですが知識がないことから、誰でも使っていい機械であることがわからない人も少なくないのが現状です。
AEDは、フタを開けさえすれば、あとは音声で全てをナビゲートしてくれるように作られています。開けるという第一歩さえできれば、あとは誰もが使用することができるカジュアルな救命機器なのです。誰もがAEDを使えれば、心配蘇生を一分一秒でも早く始めることができ、それだけで生存率はグッと上がるのです。
また、AEDは一家に一台は無理でも、実はそこら中に設置されています。どこにあるかを知っておくことで、いざという時に目の前の人の命を救うことができるようになるため、まずは自分の住まいや職場の近くのどこにAEDが設置されているかを知っておきましょう。加えて、旅行先でもアプリなどを使用して、すぐに近くの設置場所を知ることができます。
AEDの場所を知ることができるアプリは『日本全国AEDマップ』が使いやすかったです。
日本全国AEDマップ
洪水シミュレーションレンズ
洪水シミュレーション Lens by Kavin Kumar – Snapchat Lenses and Filters
このレンズでは浸水レベルを疑似体験することができ、300mm、500mm、1,000mmの3段階での浸水を自宅や職場などで再現することができます。ハザードマップで調べたい場所の浸水予想を調べ、その水位に合わせると、洪水が起きた時にどの高さまでお水が溢れるかをシミュレーションできるのです。
記者発表会の会場でこのレンズを使ってみたところ、レンズを使ってみたところ、1,000mmで演台がすっぽりと埋まってしまいました。これは結構な高さです。そしてこのレンズで水は透明に近い形で再現されていますが、実際の洪水ではこれが泥水になると考えると恐ろしい……。
高荷さんいわく、「このARレンズは「洪水」と名付けたが、浸水レベルを疑似体験することによって、自分がいるところがお水によって沈むということを意識して欲しい」と述べておりました。
水害は、ハザードマップでほとんどが想定されているため、地図を見て備えることが可能です。水害に関しては、逃げさえすれば、人は絶対に死にません。地震と違って突発的に起こるわけではなく、被害が出るまで時間があるケースがほとんどなので、備えていれば命を守ることができるのです。
そして、高荷さんが強く訴えていたのが「ハザードマップをとにかく見てほしい」ということでした。この洪水シミュレーションレンズをきっかけに、自分の自宅や職場はどれくらい浸水のリスクがあるのか、まずはハザードマップを見てもらいたいとのことでした。
東京都民や、東京に通勤通学をしている人は、東京都の防災アプリを入れておきましょう。ハザードマップもついています。
東京都防災アプリ
全国のハザードマップを見たり、各自治体のハザードマップへのリンクをまとめたアプリもあります。
防災リスマ – 災害リスク・ハザードマップ
防災情報 全国避難所ガイド
災害大国の日本で暮らす上で、災害の初動で死なないための準備は必須であり、災害が起きたら1秒でも早く対応するのが良い以上、ある程度の基礎知識は命を守るためにつけておくべきです。これらの防災ARレンズでは、命を守るのに直結する知識を得るきっかけになることでしょう。
iPhoneの人はヘルスケアアプリのメディカルIDの情報を、Androidの人は緊急情報の更新を定期的に行いましょう。
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